右と左がわからない話

能力上の欠陥というか、けっこう未だに直らないことに「右と左がよく分からない」というのがあります。

何言ってるのか意味不明でしょうけど、調べてみるとそういう人は他にもいるみたいで。

私の場合は、日常生活で「もっと右」とか言われたときに、咄嗟にどちらの方向なのか判断できない。

右、ええと右やな、右はこっち。うん、大丈夫、右はこっち。

くらいの余裕が必要であります。

これ運転してる時が特に困って、カーナビが「ここを右です」って言ったときのパニック、さらに「ここを、斜め左です」とか言い出したときのパニックは事故を誘引する可能性があるので、毎度カーナビの画面を目視。



それで、先日ふと思ったのが、でも私、英語のleftとrightはすぐ分かるし、フランス語のdroitとgaucheも間違えないし、他の言語でもそれは同じ、なぜか母語だけバグるのです。

なんか、母語だけは、抽象的な概念を理解する前に「お箸持つ方が右」とか言われて覚えたことが原因な気がする。

つまり、当時は「抽象的な概念A=それを意味する言葉A’」という思考回路が未熟だから、「右手」という具体的なものを介して右という概念を教えようとするじゃないですか。

そうすると、右、を理解するまでに、

ごはんを食べる場面を想像する

お箸を持つ場合を想像する

お箸を持つ手はこっち

お箸を持つのは右だっけ? 左だっけ?

あ、右ですか

じゃ、こっちの手が右

ということで、こっちの方向が右

くらいの遠回りをしていて、しかも途中で躓いたりする。

この心許なさが、未だに残ってしまってスパっと右! こっち! ができない呪いにかかっているのではないかよ。


逆に外国語は、「右」という概念、「左」という概念が既にしっかりあるところに、言葉を被せるだけなので、特に苦労しなかったのだと思う。



説明を頑張って逆に混乱させる話では、前にりゅうちぇるが言ってた「アナログ時計の読み方」も近いものがあった。

いわく、「何時何分の何分は、短い方の針が指してる数字を5倍すればいい、ってとこまでは分かるけど、短い針が4と5の間にある時は何を5倍すればいいのかが分からない」

ごもっともです。


多分、人生のどこかで「5倍する」っていう説明を受けたのだろうけど、これなんかも「この位置なら27分!」を60通り覚えた方が結果的に身につくと思う。大変なようでそっちの方が簡単!



そういうわけで、私は30過ぎて左右を瞬発的に判断する自主練をしながら、りゅうちぇるの心の平穏を祈るのであります。



今日も私に幸あれ。